カレーの舘

「もう良い歳なんだから」
と否定的な意味が当てはまってしまう事が次第に増えてくる
良い歳になってきた近頃でございます。

この歳になり、ようやく外食の醍醐味が分かってきました。
自身の経験と勘を試す店攻めとでも申しましょうか。
結果的にうまくなくてもいい。
残された人生の中で行く必要の無いと判断された店が
いい具合にリストアップされてきています。
自分の中で行くべき店のポイントが確立されていければ満足です。

さて、前置きが長くなりましたがそんな中でもカレー屋を攻めるのが目下の課題です。
季節的な理由もありますね。
インドカレーに目覚めております。
そこで、カレーにまつわるお話をひとつさせてください。

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去年の夏、午後の昼下がり。あの日も暑かったと思います。
飯食った後の眠気に耐えつつ事務所でPC作業をしていたときです。
事務所内が妙にカレーくさいのです。
その日は外出中の人が多く、そのとき目についたのは
さっき事務所に戻ったCさん、居眠りこいてるSさんのみでした。

私はまっさきに、こりゃCさんインドカレーでも食ってきたなと
勘繰りました。
私がそう推測した理由は以下の通りです。

Cさんは真面目だが優柔不断なところがある42歳くらいの男性です。
当時まだ新婚と聞いていました。
特別に興味があるわけではないですが、毎日昼には持参した弁当を食っているなと
私の中では認識していました。
新婚だからでしょうか、持参弁当の率は高いと記憶しています。
これは特に私が見に行ったり、昼の雑談をして得た情報ではありませんが、
食っているのをよく見かけたので確かです。
そして食後は給湯室で洗いものをしていましたので持参したものと思います。
そんな彼が、さきほども述べました通り、昼時は事務所にいなかった日でした。
毎日弁当を持参する人間が外で飯を食わなければならないときに何を食うか。
私はインドカレーだと睨みました。
まずカレーは弁当で持参するのが困難です。
(私が幼稚園のとき、冬場は昼食時まで園児の弁当はウォーマー、ちょうど
飲食店にあるおしぼり入れのような箱体、に保管しておく習慣がありました。
アルミの弁当ケースに詰めていくのですが、その時にカレーライスを持たされたことはありました。
今思えば母親はかなり手抜きをしていたのですね。)

折角だからとカレーを食いたくなるでしょう。
さらにナンが付くインド風ともなればなおさらのことです。折角を埋めるには十分です。
打ち合わせ後の開放感にまかせて行ったに違いありません。
手に取るようにわかります、その気持ち。

しかし、後日わたしはこの推測が誤っていたことに気づくのでした。
あの日のカレーくさい原因、それはもうひとりの在室者
再雇用社員のSさんだったのでした。
彼のランチローテーションを横目で見ていると、
屋台デリ→ローソン(×20times)→ココ壱→屋台デリ 〜以降同じ
という具合です。ちなみに氏は毎日ワンセグで笑っていいとも、NHK連ドラを
昼休みに見ます。
ある日のココ壱の日、氏は弁当ガラをデスク脇の屑入れに捨てていました。
その午後です。事務所中にカレーのにおいが漂っているではありませんか。
あの日もそういえばココ壱弁当を食っていたような気がしてきました。

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今日食ったカレーはタイカレーです。
後半になると甘みでうんざりしてきます。
今は腹の中がホットです。